2024年1月からつみたてNISAの新制度が開始となり、昨今は一般の人々の間でも投資というワードが身近な存在になってきています。一方で、円や株価の不安定さから、新たに暗号資産をポートフォリオに追加することを検討し始める人も増えているでしょう。
しかし、数多くの暗号資産が存在する中で、投資初心者が価格の上昇が予想される銘柄を見極めるのは容易ではありません。したがって、今回は将来性のある銘柄を選択するためのポイントを複数ご紹介します。
1. プロジェクトが導くソリューション
暗号資産を評価する際の重要なポイントの1つは、そのプロジェクトが解決しようとしている問題や、提供しようとしている価値です。
もし単なる投機的な資産ではなく、実際の活用例や問題解決策を持つプロジェクトであれば、社会的な存在意義があるため長期的な成功を収める可能性が高くなります。
具体例として、暗号資産を利用した募金ができる寄付プラットフォームや、ホテルや航空券の支払いに暗号資産を利用できる旅行予約サイト、Play to Earnモデルを採用したブロックチェーンゲームなどは、そのエコシステムから将来性に期待できます。
2. 開発チームの経歴と実績
暗号資産プロジェクトの成功は、その背後にいる開発チームの能力と経験に大きく依存します。優秀で経験豊富なチームであれば、技術的な課題を克服し、プロジェクトを成功に導く可能性が高くなるからです。
投資初心者がチームを評価する方法としては、LinkedInやGitHubなどのプラットフォームを活用すると良いでしょう。このようなプラットフォームでは、チームメンバーの過去の実績や業界内での評判、そしてアドバイザーやパートナーの質と関連性を確認することが可能です。
3. 技術的な優位性と革新性
暗号資産の価値は、その基盤となる技術の強さや革新性に大きく影響されます。これは、先進的な技術を使っているプロジェクトは、他の競合よりも優位に立つことが期待できるためです。
たとえば、たくさんの取引を素早く処理できる「スケーラビリティ」や、ハッキングなどに強い「セキュリティ」、個人情報をしっかり守る「プライバシー保護機能」があるかどうかがポイントとなるでしょう。また、「スマートコントラクト」がどれだけ柔軟に使えるか、他のブロックチェーンやシステムと連携できる「インターオペラビリティ」の機能が備わっているかも注目すべき観点です。
4. コミュニティの活発さと成長
活発で成長しているコミュニティがあるかどうかは、暗号資産プロジェクトが将来成功するかを判断するためのポイントとなり得ます。強力なコミュニティは、プロジェクトの継続的な開発を支え、価値の向上にも貢献します。
投資家がコミュニティを評価する際には、次の点に注目しましょう。まず、X(旧Twitter)やTelegram、DiscordなどのSNSでのフォロワー数と、その人たちがどれだけ積極的に活動しているかが大事です。また、GitHubなどで開発者がどれだけ頻繁にプロジェクトに貢献しているかもチェックすると良いでしょう。
さらに、コミュニティイベントやハッカソンがどれくらいの頻度で、どのくらいの規模で行われているかも見逃せません。イベントが多く、さまざまな人が参加している場合、そのプロジェクトは多くの支持を得ている可能性が高いです。加えて、コミュニティメンバーからのフィードバックや提案に対して、プロジェクトチームがどれだけ真剣に対応しているかも重要な指標です。
5. 採用率と実際の使用例
暗号資産が長く成功するかどうかは、その暗号資産がどれだけ実際に使われているかに大きく関わっています。逆に言えば、理論的に優れた暗号資産でも、実際に使われていない場合はその価値を保つのが難しくなります。
採用率や使用例を確認する場合には、まず暗号資産がどれだけ多くの取引所で取り扱われているか、どのくらいの取引量があるかを見てみましょう。また、その暗号資産を使って商品やサービスを購入できる店舗や企業の数も大切な指標です。
さらに、その暗号資産が他のプロジェクトやアプリケーションとどれだけ連携しているか、大手企業や機関がその暗号資産を採用しているかどうかもチェックしましょう。ユーザー数が増えているかどうかも、将来的な価値を見極める上でのポイントとなります。
6. トークノミクスと通貨政策
暗号資産の価格は、トークノミクスと通貨政策が大きく左右します。そして、健全なトークノミクスがあれば、その暗号資産の価値は長期的に安定し、成長しやすいと言えます。
この時、投資者初心者が注目すべきポイントは、その暗号資産の総供給量とインフレ率です。これらは、トークンがどれだけ発行されるか、そしてその増え方に関係しています。また、トークンがどのように分配されているか、つまり創設者や開発者、コミュニティにどのくらい配分されているかも重要です。
さらに、トークンの価値を支える仕組みとして、ステーキングやバーニングなどのメカニズムがどうなっているかを確認しましょう。たとえば、取引手数料の一部がトークン保有者に還元される仕組みがあると、トークンの価値が保たれやすくなります。加えて、トークンがすぐに売られないように、ロックアップ期間や分配スケジュールが設定されていることも、価値の安定につながります。
7. 規制環境とコンプライアンス
暗号資産の市場は急速に発展しており、そのため規制や法律も頻繁に変わっています。このような変化に適切に対応し、法律を守る姿勢を持つプロジェクトであれば、長期的に成功する可能性が高くなります。
そのため、投資初心者はプロジェクトの法的な立場が明確であるかどうか、主要な国や地域での規制に適合しているかを確認しましょう。また、KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)といった、犯罪防止のためのルールをきちんと守っているかも確認しておくべきです。
さらに、その暗号資産がセキュリティトークンの場合、適切な登録や許可を得ているかを調べておくことも大切です。たとえば、米国の証券取引委員会(SEC)や他の主要な金融監督機関と良好な関係を保っているプロジェクトは、将来的なリスクが少ない可能性があります。
8. マーケティングと広報戦略
優れた技術や強力なチームを持つ暗号資産プロジェクトであっても、効果的なマーケティングと広報活動なしでは、市場での認知度を高めることは難しいでしょう。
そのため、プロジェクトが一貫性のある魅力的なブランドを作り上げているか、あるいはソーシャルメディアでの活動が活発で、効果的にプロジェクトをアピールできているかを確認してください。
さらに、業界イベントやカンファレンスに積極的に参加し、インフルエンサーやメディアと協力しているプロジェクトは、より多くの人々に知られるチャンスを増やしていると言えます。
9. 競合分析と市場ポジショニング
暗号資産市場は多くのプロジェクトがひしめき合う、非常に競争の激しい場所です。したがって、自身が投資しようとしている暗号資産プロジェクトが、どのような競合と戦っているかを調べることが大切です。他のプロジェクトと比べて、技術的にどの部分が優れているのか、また、どのような特徴や強みがあるのかを確認しましょう。
たとえば、特定のニッチな市場、つまり他のプロジェクトがあまり手を出していない分野に特化しているプロジェクトや、大手プロジェクトがカバーしきれていない問題を解決するためのソリューションを提供しているプロジェクトは、独自のポジションを確立できる可能性が高いです。さらに、他の競合と比べたときの市場シェアや成長率、競合に対してどのような戦略を取っているのかも、しっかりチェックすることが重要です。
これらのポイントを理解しておくことで、投資しようとしているプロジェクトが競争の中でどのように立ち回っているか、そして将来的にどれだけ成長できるかを見極めやすくなります。
10. パートナーシップと提携
強力なパートナーシップネットワークは、暗号資産プロジェクトの信頼性を大きく向上させ、価格を上昇させる可能性があります。
具体例として、GoogleやMicrosoftのような大手テクノロジー企業と提携しているプロジェクトは、技術面でのサポートを受けやすくなり、より信頼性の高いサービスを提供できるようになるでしょう。また、銀行やクレジットカード会社などの金融機関と連携しているプロジェクトは、暗号資産を使って日常の支払いができるようになるかもしれません。
11. 資金調達と財務状況の健全性
暗号資産プロジェクトの成長には、しっかりとした財務状況が欠かせません。適切な資金調達と健全な財務管理が行われているプロジェクトは、市場の変動に対しても強く、長期的な成長が期待できます。
確認ポイントとしては、プロジェクトがこれまでにどれくらいの資金を集めてきたのか、そしてその資金をどのように使っているのかを確認することが大切です。特に、著名な投資家やベンチャーキャピタル(VC)からの支援を受けているプロジェクトは、信頼性が高いと考えられます。なぜなら、これらの投資家は、慎重にプロジェクトを選んで投資を行うからです。
また、プロジェクトが定期的に財務報告を公開しているかどうかも重要です。透明性があるプロジェクトは、資金の使い道が明確で、投資初心者に安心感を与えてくれるでしょう。
12. セキュリティと過去のインシデント対応
暗号資産の世界では、これまでに起きたセキュリティ問題や、その対応がプロジェクトの信頼性と将来的な価値に大きな影響を与えます。したがって、セキュリティチェックがどれくらい頻繁に行われ、その結果はどうであったのか。あるいは過去にハッキングやセキュリティ違反があったかどうか、問題が起きたときにどれくらい早く対応したかなどをチェックしておきましょう。
この時、定期的に外部の専門家による監査を受け、その結果を公開しているプロジェクトや、過去の問題に対して迅速かつ正直に対応しているプロジェクトは、信頼性が高いとみなすことができるでしょう。
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